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中務省について
【表記】 | 中務省 |
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【読み】 | なかつかさしょう |
【国風読み】 | なかのまつりごとのつかさ |
中務省とは
令制八省のひとつ。
天皇の国事行為に関する秘書業務、及び、後宮での諸業務を担当。
中務省の職掌
中務卿の職掌は、大納言と同じく天皇に近侍し是非の献言、宮中儀式での天皇の補佐、内記の起草した詔勅の審査と署名、さらに、詔勅の内容に関して天皇への確認業務、天皇に対する上奏文の全てを管理、国史の監修、女王以下の位記の管理、人事考課を受けての叙位等。
唐令相当
唐令「中書省」相当。
中務省の別名
奈良時代、淳仁天皇の官制改革時「信部省」。
中務省の特色
中務省は、詔勅の作成に深く関わり、天皇の意向を受けて内記が詔勅の起草を行い、その詔勅に対しては、中務卿が、審署、履奏することを必要とされた。即ち、国家の最高意思決定に重要な省であることから、中務省の長官である中務卿の官位は、他の省の卿よりも一階級高い設定となっている。
中書王(中務卿)とは
平安時代、令外官の蔵人所が設置されたり、藤原氏に拠る摂関政治が進んだりしたことで、中務省の意義は喪失し、中務卿は単なる名誉職(事実上の閑職)として、親王が就任することが常態化して行くこととなる。中務卿を務める親王は唐名に因み「中書王」と呼ばれた。
兼明親王(醍醐天皇の皇子)は、「前中書王」。
具平親王(村上天皇の皇子)は、「後中書王」。
中務省の組織
《中務省組織図》 ┏神祇官 ┃ 天皇━┫ ┃ ┣太政官┳中務省━━┳中宮職 ┃ ┃ ┣左大舎人寮 ┃ ┃ ┣右大舎人寮 ┃ ┃ ┣図書寮 ┃ ┃ ┣内蔵寮 ┃ ┃ ┣縫殿寮 ┃ ┃ ┣陰陽寮 ┃ ┃ ┣画工司 ┃ ┃ ┣内薬司 ┃ ┃ ┣内礼司 ┃ ┃ ┗内匠寮 ┃ ┣式部省 ┃ ┣治部省 ┃ ┣民部省 ┃ ┣兵部省 ┃ ┣刑部省 ┃ ┣大蔵省 ┃ ┗宮内省 ┣弾正台 ┣衛門府 ┣左衛士府 ┣右衛士府 ┣左兵衛府 ┗右兵衛府
中務省の役職
《役職》 卿(三品。四品。正四位上)1名 大輔(正五位上)1名 少輔(従五位上)1名 職掌は、卿に准じるが献替はしない 大丞(正六位上)1名 少丞(従六位上)2名 職掌は、官人の考課 大録(正七位上)1名 少録(正八位上)3名 史生 20名 侍従(従五位下)8名 職掌は、天皇に常時近侍すること 内舎人 90名 職掌は、帯刀し宿衛、及び、駕行の際の護衛 大内記(正六位上)2名 中内記(正七位上)2名 少内記(正八位上)2名 職掌は、詔勅の起草、及び、内廷の記録 大監物(従五位下)2名 中監物(従六位上)4名 少監物(正七位下)4名 史生 4名 職掌は、出納の監察 大主鈴(正七位下)2名 少主鈴(正八位上)2名 職掌は、鈴印の伝符、飛駅の函鈴の出納 大典鑰(従七位下)2名 少典鑰(従八位上)2名 職掌は、管鑰の出納 省掌 2名 職掌は、庶務 使部 70名 直丁 10名
※ 官位は相当
中務省の年表
<大宝元(701)年>
8月3日、『大宝律令』完成。
<天平宝字元(757)年>
5月20日、『養老律令』施行。
中務省麾下の官庁
中務省の下には、中宮職・左大舎人寮・右大舎人寮・大舎人寮(左大舎人寮と右大舎人寮が合併)・図書寮・内蔵寮・縫殿寮・陰陽寮・画工司・内薬司・内礼司・内匠寮が置かれた。