大蔵省【出納の番人】

大蔵省について

【表記】 大蔵省
【読み】 おおくらしょう

大蔵省とは

令制八省のひとつ。

国庫の管理業務、宮廷行事の準備、衣服や道具の製造等を担当。

大蔵省の職掌

大蔵卿の職掌は、出納の管理であり、諸国からの調や銭、金銀珠玉、器物や薬剤の原料の統括である。また、京内の市場で使用する計量器に対して毎年2月に年一回の検査を実施し、市場価格を監視し記録する業務等を担う。

奈良時代、大蔵卿は皇親に限定され、それ以降も有力な貴族が就任する官職であった。

しかし、奈良時代には、民部省が財政権を掌握しており、さらに、光仁天皇、平城天皇、嵯峨天皇の相次ぐ官制改革に拠って、大蔵省隷下の諸司が統廃合される等したため、その力は軽微なものとなる。

大蔵省の系譜

大蔵省は、雄略天皇朝の頃に起源を持つ官司。天武天皇朝の時には、大蔵として存在している。

大蔵省の組織

《官制略図》

    ┏神祇官
    ┃
 天皇━┫
    ┃
    ┣太政官┳中務省
    ┃   ┣式部省
    ┃   ┣治部省
    ┃   ┣民部省
    ┃   ┣兵部省
    ┃   ┣刑部省
    ┃   ┣大蔵省━━┳典鋳司
    ┃   ┃     ┣掃部司
    ┃   ┃     ┣漆部司
    ┃   ┃     ┣縫部司
    ┃   ┃     ┗織部司
    ┃   ┗宮内省
    ┣弾正台
    ┣衛門府
    ┣左衛士府
    ┣右衛士府
    ┣左兵衛府
    ┗右兵衛府

大蔵省の役職

《役職》

卿(正四位下)1名

大輔(正五位下)1名
少輔(従五位下)1名

大丞(正六位下)1名
少丞(従六位上)2名

大録(正七位上)1名
少録(正八位上)2名

史生      6名

大主鑰(正六位下)2名
少主鑰(従七位下)2名
職掌は、出納の管理

蔵部 60人
価長 4人

典履 2人
職掌は、賞賜用の靴、履や鞍具の縫製

百済手部 10人
職掌は、縫製作業

典革 1人
職掌は、革製品の染色と狛部の検校

狛部 6人
職掌は、革製品の染色

省掌 2名
職掌は、庶務

使部 60名
直丁 4名
駈使丁 6人
百済戸。
狛戸。

大蔵省麾下の官庁

大蔵省の下には、典鋳司・掃部司・漆部司・縫部司・織部司が置かれた。