兵部省【文民統制の番人】

兵部省について

【表記】 兵部省
【読み】 ひょうぶしょう
【国風読み】 つわもののつかさ

兵部省とは

令制八省のひとつ。

内外武官の人事、全国に配備された兵員や兵器の管理、及び、全国各地の軍事施設の管理等を担当。

兵部省の職掌

兵部卿の職掌は、内外の武官の考選や選任、城隍や烽火の整備管理、有事の際の兵員の動員等である。『養老令』以降に、武官人事権が委ねられたものと見られている。

兵部省は全て文官で構成されており、軍に対する「文民統制」の要であった。国権の下で発動される軍事作戦は、臨時職の将軍や左右兵衛府の武官が指揮を執ったが、その人事は、兵部省が一手に掌握していたのである。

なお、兵部省設立当初は、兵馬司・造兵司・鼓吹司・主船司・主鷹司の五司を、その管轄下に置いていたが、平安時代初期までに、これらの五司は併合等で姿を消し、代わって、隼人司を管轄することとなる。

兵部省の別名

奈良時代、淳仁天皇の官制改革時「武部省」。

兵部省の系譜

民部省は、天武天皇朝の兵政官を前身とすると見られる。

兵部省の組織

《官制略図》

    ┏神祇官
    ┃
 天皇━┫
    ┃
    ┣太政官┳中務省
    ┃   ┣式部省
    ┃   ┣治部省
    ┃   ┣民部省
    ┃   ┣兵部省━━┳兵馬司
    ┃   ┃     ┣造兵司
    ┃   ┃     ┣鼓吹司
    ┃   ┃     ┣主船司
    ┃   ┃     ┣主鷹司
    ┃   ┃     ┗隼人司
    ┃   ┃
    ┃   ┣刑部省
    ┃   ┣大蔵省
    ┃   ┗宮内省
    ┣弾正台
    ┣衛門府
    ┣左衛士府
    ┣右衛士府
    ┣左兵衛府
    ┗右兵衛府

兵部省の役職

《役職》

卿(四品、正四位下)1名

大輔(正五位下)1名
少輔(従五位下)1名

大丞(正六位下)1名
少丞(従六位上)2名

大録(正七位上)1名
少録(正八位上)3名

史生      10名

省掌 2名
職掌は、庶務

使部 60名
直丁 4名

兵部省麾下の官庁

兵部省の下には、兵馬司・造兵司・鼓吹司・主船司・主鷹司・隼人司が置かれた。