親王

親王について

【表記】 親王
【読み】 しんのう(みこ)

親王とは

天皇の兄弟や、天皇の皇子に与えられる称号のこと。

『大宝律令(大宝令)』の「継嗣令」によって初めて規定される。なお、天皇の姉妹、天皇の皇女の場合も、親王に准じた。ただし、女性に関しては「内親王」と呼称された。

「親王」の語が初めて使われたのは、記録上は、天武天皇4(675)年の詔勅内においてであるが、当時の天皇の子供たちの表記は「皇子」「皇女」のままであり、『大宝律令(大宝令)』の制定によって確立された。

親王の位階

「官位令」では、親王には一品から四品の位階が授位されることになっている。

ただ、これらの位階を受けない場合もあった。親王は、皇族の中でも破格の待遇を受け、儀礼的であっても、その地位は大臣と並ぶものとされ、諸王、諸臣とは一線を画している。

親王の官職

官職も正四位までの官職であれば、皇太子傅以外の官職への就任を可能とされた。

ただ、実際には、平安時代以後、大宰帥と八省卿(八省の長官)に任じられることが慣例となり、実務的なものではなかった。

奈良時代の親王

奈良時代中期以後、「親王宣下」が執行されるようになり、皇子・皇女らが、親王となるには、親王・内親王として特定される必要が生じた。宣下を受けない場合は、王・女王とされた。

平安時代以降の親王

平安時代になると、親王の対象は皇孫まで拡大し、鎌倉時代には、親王家による親王の代々世襲等が行なわれる。ただし、皇孫以下が親王になるには、天皇または上皇の猶子、養子となることが条件となっている。

近代の親王

明治維新以降の近代になると、親王、内親王に関しては、明治22(1889)年の『皇室典範』、昭和22(1947)年の『皇室典範』によって、規定されている。

親王の年表

<天武天皇4(675)年>
2月15日、天武天皇の詔勅の中に「親王」の語が初めて使われる。

<大宝元(701)年>
6月8日、『大宝律令』施行。

<天平宝字3(759)年>
6月16日、淳仁天皇、兄弟姉妹に対して史上初の親王宣下を行なう。