康忠についての小ネタ
【時代】 | 平安時代 |
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名も無き忠義の士「康忠」
姓は伝わっていないが、後白河院に近侍する兵衛尉康忠と言う人物がいた。
この康忠は、『平治の乱』が勃発した際、院の御所を警護し、果敢に戦闘に加わり戦死を遂げた。
月日は流れ、仁安年間(1166~1169)の頃、後白河院の御所へ、どこからともなく黒いまだら模様の犬が入り込み、いくら追い払っても追い払っても、気がつけば、犬は御所内に入り込む有様だった。
一体この犬は何なのか?
生まれ変わっても主を傍らで守りたい
御所に仕える者たちが不審に思っていると、一人の出仕人の夢の中にお告げがあった。
この犬こそは、先に戦死を遂げた康忠その人であって、戦死しても、なお後白河院に対する忠義の思いが強く、康忠の御霊が犬に姿を変えて、後白河院に近侍しようとしたものであった。
康忠の御霊が犬となっても、なお、赤心から後白河院に仕えようとしていると知って、人々は皆、深く胸を打たれたと言う。
「忠義の士」と言うと、名のある武将を連想しがちであるが、名も無き者にも「忠義」の志は大いにあった。